傍らに白澤    

草「界





右目から溢れた涙が左目に還る
合った筈の動かない瞳
視線をどんなに合わせても
どうしたって見えない視界

一生懸命笑う事 一生懸命話す事
努力して得た沢山の普通
やっと手に入れた拙い世界
どうしたって手放せない世界

もう間違わないから
もう迷わないから
ちゃんとするから
何でもするから

だからそんな事イワナイデ

笑い声がする
小さな声がする
器用に走る亀裂が痛い
包帯じゃとても間に合わない



ぼんやりと映る影 かすかに見える目
同じ形をしてるのだから
変わってくれてもいいんじゃない
そこにも世界があるじゃない

見上げる空の広さは酷い
訪れる夜の暗さは酷い
果てがないなら降りてきて
全てを溶けるように呑み込んで

ずっと憧れて
ずっと羨ましくて
夢に描いた
蜃気楼

いっそアキラメタラいいのかな

…これ位 まだまだ
大丈夫 飲まれない
励ます言葉があるうちは
ちゃんと笑っていられるの

ガラス越しに丸くなる
背中越しに見た夢
舞い散るのは白いはなびら
両手で掬えるまで待って




 
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