月並みだけど





暖かい風が吹く
何もない昼下がり
テーブルの上のマグカップ
二つ並ぶのは久しぶり


『忙しいのは素敵な事』
覗きこめば眩しくて
甘えられる幸せを
膝の重みで実感できる


文字だけよりも声が欲しくて
声だけよりもその手が欲しくて
行きたい所もいっぱいあるけど
今は僕だけの君を見てたい


小さな寝息が途切れない事を
慣れた重みが消えない事を
何よりも願うから
もう少し我儘を聞いて欲しい




暖かい風が吹く
何もない昼下がり
少しのタバコと春の香り
眠たくてたまらない

『ごめんな、次は大丈夫だから』
困った顔が可愛くて
触れた先のぬくもりが
此処にいると教えてくれる

文字を見ると聞きたくて
声を聞くと逢いたくて
言いたい事はいっぱいあるけど
今はただ静かに触れてたい

撫でる手が止まらない事を
この香りが消えない事を
何よりも願うから
もう少し安心で解けさせて



見えない約束と
薄くなる未来を
口に出すと影を持ちそうで
笑顔の裏に隠していたのは

今日は眩しさで消してあげられる
そっと届いて 僕の誓い


暖かい風が吹く
昨日と違う昼下がり
テーブルのさわれる誓い
涙と一緒に光れば良い




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