フードの下の季節
雨が降っている気がするベランダ
倒れたままの時計を起こして
ふらりと立ち上がればひやり
震える足に床が張り付く
屋根を打つ音
歩く音
滴る水と
染みる水
潤す一滴を求めて僕は
これから一つの扉を開ける
跳ね返る 飛び散る 染みる 広がる 残る
何時だか僕が落とした滴が
今では大きな軌跡を繋いで
数えきれない誰かを濡らす
気付けなかった僕を伝った
微かな氷滴を掬いあげてゆく
小さな両手が君で良かった