可惜夜
濡れるような濡れないような
雨が浮いている道を統べる
転々と 灯る街灯を数えて 吐息
ようやっと 辿り着いたは 寝台の淵
体温はとうに連れ去られ
慰めるのは新月の香り
白い息が昇るのは
ここで呼吸をした証
霞んだ瞳が程無く落ちる
耳へ伝う情の滴で
傷跡を残して
刻みつけては
東雲が訪れるまでの静寂ののち
そうしてまた
この世に生まれ出づるは
息吹