噂の育て方
ほんの少しの欠片を蒔いて
あとはじっと時を待つだけ
時々添え木をしてやれば
蔦は伸びるし
葉も増える
最初の一粒さえ間違えなければ
人一人覆ってしまうなんて訳ない事で
こんなに簡単なものはないんだと
口元に弧を描き 溢れた赤を根元へ注ぐ
うだる気温
うざい体温
これ以上脱げない身体はそれでも目指す
『理想』 『空想』 『妄想』 『幻想』
さぁ 次は何を摂取しその葉を広げようか
お手軽な肥料はそこら中に蔓延っている
そうして増殖したのちは
それはそれは 艶美な花を咲かせてくれよ